外国人雇用

在留資格とビザについて詳しく解説

2023年01月12日 | 外国人雇用
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「外国人」ということば。
誰でも知っていることばですが、実は人によってその「定義」が異なることがよくあります。一般的な日本語の会話の中で使われる「外国人」ということばは、ときに

 ・出身が日本以外の国の人
 ・身近な血縁関係の中に日本国籍以外の国籍の人がいる人
 ・日本語を母国語としない人
 ・外見など自身が持つ日本人のイメージと異なる人

などの意味で使われることがありますが、ここでは出入国管理及び難民認定法上で扱われる「外国人」ということばの意味に触れたいと思います。

日本における「外国人」とは

「外国人」とは、国籍法第4 条にある「日本国民でない者」を指します。つまり、国籍が「日本」の人は「日本人」。国籍が「日本以外」の人は「外国人」となります。

また、ときどきスポーツ選手などの外国人が「帰化」をするというニュースを耳にすることがありますが、「帰化」はこれまで日本以外の国籍の人が自国の国籍を捨て、あらたに日本国籍を取得することですので、みなさんの頭にパッと浮かぶ日本の名前を持つ大相撲の力士やサッカー選手も「日本人」なのです。

一方で、日本人が日本以外の国籍を持つ人と結婚した場合、その配偶者は「日本人」でしょうか?「外国人」でしょうか?

答えは「外国人」です。国籍は婚姻によって自動的に取得するものではないので、「日本人」と結婚したとしても何もしなければ国籍は結婚前と同じままになります。しかし、「日本人」と結婚して日本に住む場合「日本人」と同様の生活を営む必要が生じることから「日本人の配偶者等」の在留資格を取得して滞在することになります。
ちなみに、同じような意味で「外人」ということばが使われることがありますが、差別的なニュアンスもあるため使用しないほうがよいでしょう。

外国人労働者という観点(旅行者などの一時的な在留は除く)では、2021年時点で1位がベトナム、2位中国が圧倒的に多く、3位にフィリピンと続きます。

※参考 :【2022年版】 各国の外国人労働者の受け入れ状況-日本は外国人労働者に選ばれる存在なのか?

在留資格って何? ビザとどう違う?

外国人が日本に中長期的に滞在するためには、在留資格の取得が義務付けられています。在留資格は、よくビザ(査証)と混同されがちですが、ビザは「日本に入ってもいい」という、いわゆる推薦状のようなもの。外務省管轄の在外公館が発行し、外国人が日本に入国してよいと判断された場合、パスポートに印字、またはシールが貼り付けられます。

一方、在留資格とは、法務省管轄の入国審査官が入管法に基づいて与えるもので、外国人が日本に在留して一定の活動を行えること、一定の身分や地位を有する者として活動できることを示す「入管法上の法的な資格」です。

外国人はこの法的な資格に基づいて日本に在留し、働いたり、学生生活を送ったりすることができます。在留資格の許可は、管轄である各地方の入管が行います。

また、「外国人」の話題の中でたびたび登場する「入管」という行政機関がありますが、正式名称出入国在留管理庁(旧入国管理局)です。

一般的に「入管」ということばは、法務省の外局としての出入国在留管理庁と地方出入国在留管理局およびその支局や出張所を含むことが多いようです。

出入国在留管理庁には、以下のような役割があります。

  • 出入国管理
  • 中長期在留者および特別永住者の在留管理
  • 難民認定などの外国人関連の行政事務

など。

在留資格は、2022 年7 月現在では、29 種類あります。
民間企業等で雇用する可能性が高い在留資格は、4つの資格群が考えられます。

日本に在留する外国人は、資格ごとに定められた範囲で活動できます。外国人はビザを取得して日本に入国し、在留資格を得て、初めて日本に中長期的に滞在し、活動できるようになります。

外国人も住民票が必要

外国人が日本に住む場合も住民票が必要になります。
日本人同様に氏名や住所のほか、国民年金保険や国民年金の被保険者に関する事項が記載されます。

さらに外国人の場合、国籍のほか、中長期在留者、特別永住者等の事項が記載されます。
住民票に記載される具体的な事項は以下になります。

  • 氏名
  • 出生年月日
  • 性別
  • 住所(及び転居した場合はその住所を定めた年月日)
  • 転入届出の年月日及び従前の住所
  • 個人番号
  • 国民健康保険の資格に関する事項
  • 国籍・地域
  • 外国人住民となった年月日
  • 中長期在留者等である旨
  • 在留カードに記載されている在留資格、在留期間、在留期間の満了の日、在留カードの番号等
  • 通称の記載及び削除に関する事項

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…など(外国人の住民票に関連する事項を抜粋しています)。

日本に住む外国人は、日本人と同様、住民基本台帳制度に則り、基礎的行政サービスを受けられるようになっています。当然、住民票を有する外国人は住基カードも作成可能でしたし、現在ではマイナンバーカードカードの申請も可能です。

日本で働いてもよい外国人とは?

在留資格を持っているからと言って、すべての外国人が日本で働いてよいわけではありません。
在留資格には就労が認められているもの、認められていないものがあるので、注意が必要です。

日本での就労が認められている在留資格の中でも、一般的な法人が雇用する外国人が保有している可能性が高いものが「技術・人文知識・国際業務」と「介護」「特定技能」「技能実習」です。ほかに、身分・地位に基づき、日本人と同じように自由に活動できるのが「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」と、日系3 世や中国在留邦人などの「定住者」です。

また、原則としては就労が認められていませんが、資格外活動として一定の範囲内でアルバイトを行える「留学」などがあります。

就労を認められている在留資格の中で、オフィスワークなどで活躍する人が多いのが、「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる「技・人・国」と呼ばれる在留資格です。在留期間は最長5年で更新回数の制限がありません。

ただし、在留資格の要件上、学歴や大学や専門学校で学んだ専門分野と業務との関連性が問われるなどの制限があり、また、単純労働的な業務に就くことができないなどの制限もあります。

一方で、学歴や年齢、専門性に関係なく雇用できるのが「技能実習」と「特定技能」です。
「技能実習」は、国際貢献の観点から、日本の技術を開発途上国に移転することを目的として生まれた制度です。

一般的には、監理団体を通して各企業が実習生を採用する方法が採られています。そのため、採用企業は、自社主導で進める採用よりスピード感がない、間に監理団体が入るためもどかしさや不透明さを感じる、需要と供給のタイミングがずれるなどが課題となっています。

「特定技能」は、2019 年の入管法改正によって創設された在留資格です。在留資格の中で、唯一「労働力確保」のために設けられたものなので、日本の人手不足解消に大きな期待が寄せられています。

在留資格は大きく5つに分けることができます。

  1. 定められた所属機関、職種、業務、期間など一定の範囲内で就労可能な資格
  2. 原則として就労が認められない資格
  3. 資格外活動許可を取得した場合に限り、一定の範囲内で就労可能
  4. 一定の範囲(所属機関、業種・職種、労働時間等)内で働ける種類の資格
  5. 日本と同様に就労できる資格

①定められた所属機関、職種、業務、期間など一定の範囲内で就労可能な資格

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主に外国政府の大使、大使館や領事館の職員、大学教授などが該当します。また高度専門職は1号、2号と分かれ、70ポイントで資格取得(学位、職歴、年収等の条件の合算)や日本国内での活動年数で取得など、やや複雑な条件となります。

詳しくは出入国在留管理庁のWebサイトを確認してください。

参考:高度人材ポイント制とは?(出入国在留管理庁)https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/newimmiact_3_system_index.html

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また、民間企業や事業者が雇用する可能性が高いものとしては、技術・人文知議・国際業務(企業での研究開発など)、介護、特定技能、技能実習が挙げられます。

②原則として就労が認められない資格

観光等の一定期間在留できる資格です。

③資格外活動許可を取得した場合に限り、一定の範囲内で就労可能

留学や家族滞在が該当します。特に留学はアルバイト採用をすることが可能です。

④一定の範囲(所属機関、業種・職種、労働時間等)内で働ける種類の資格

外国人の個々の事情によって認められる資格です。

たとえば、医療滞在およびその同伴者、日系四世、ワーキング・ホリデーなどが該当します。

詳しくは出入国在留管理庁のWebサイトを確認してください。

参考:在留資格「特定活動」(出入国在留管理庁)https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities.html

⑤日本と同様に就労できる資格

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4つが該当します。
この4つも民間企業や事業者が雇用できる在留資格です。

外国人の定義と在留資格を知ることは、相互理解の一歩のひとつ

「外国人」とひと言で言っても、さまざまな在留資格の人がいます。

近年ようやく、日本で働いたり、長く暮らす外国人もさまざまな行政サービスを受けられるよう制度等が整いつつあります。

とはいえ、すべてが日本人同様とはならず在留資格によって携われる仕事や期間も変わってきます。

外国人を雇用する際に雇用者側が在留資格について知っておくと、トラブルや法例違反を回避、もしくはそのリスクを最小限に抑えることができます。

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参照:
出入国管理及び難民認定法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326CO0000000319
外国人住民に係る住基台帳制度(総務省)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/zairyu/resident_record.html

寺岡 佑季子(Teraoka Yukiko)
広済堂ホールディングスグループ
株式会社タレントアジア Evangelist

2004年から2011年までタイ、マレーシア、ベトナムで日本語教育及び現地日本語教師養成に従事。
2019年から広済堂グループにて外国人人材紹介、特定技能外国人雇用支援サービス「タレントアジアサービス」のローンチ、特定技能外国人人材管理システム「TalentAsiaシステム」の開発・リリースに携わる。
日本語教育・外国人支援の観点から、特定技能制度の普及に尽力。

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